20畳のリビングにオイルレスヒーターを置きたいんだけど、暖房能力は足りるかしら?
オイルレスヒーターは、一番パワーがあるモデルでも13畳までが目安※ だから、単独で部屋全体を暖めるのは難しいね。2台使いする手もあるけど、制約も多いから、僕はエアコンとの併用をおすすめしているよ!
※メーカーによって基準が異なることも多く、使用環境にもよるので、あくまで目安の広さ
オイルレスヒーターは各社たくさんのモデルを出していますが、20畳に対応しているモデルはありません(最大でも13畳まで)。ブレーカーや電気代、置き場所の確保、コンセントの位置などの問題が無ければ2台使う方法もありますが、基本的にエアコン等との併用をおすすめします。
本記事では、
20畳対応のオイルレスヒーターはない(13畳用が最大)
代表的なオイルレスヒーターの対応畳数※ と最大消費電力を以下の表にまとめました。一般的な定格電流15A のコンセントで使える上限のモデル(1,500W) でも13畳までしか対応していないことがわかります。
※各社、独自の基準で対応畳数をうたっているケースが多く、あくまで目安の広さです
メーカー(ブランド) / 製品名 | 対応する部屋の広さ※ | 最大消費電力 |
デロンギ / マルチダイナミックヒーター | 6~13畳 | 900~1,500W |
ケノンヒーター / スグダン | 6~11畳 | 1,500W |
ディンプレックス / オイルフリーヒーター | ~13畳 | 1,200W |
コロナ / ノイルヒート | 10~13畳 | 1,200~1,500W |
ユーレックス / ヘリテイジヒーター | ~13畳 | 1,500W |
シロカ / かるポカ | ~10畳 | 1,200W |
山善 / オイルレスヒーター | ~8畳 | 1,200W |
もちろん、2台使えば暖房能力は足りますが、いくつか注意点があります。次に、この注意点を説明します。
オイルレスヒーターを2台使いする場合の注意点 (ブレーカー、電気代、空きコンセントとスペースの確保)
1つの部屋にオイルレスヒーターを2台使う場合、以下の3つの問題をクリアする必要があります。
- ブレーカーが落ちやすくなる | 最低でも50A のブレーカーが必要
- 電気代が高くなる | 例えば、一日9時間のエコ運転で約9,000円/月※
- 空きコンセントスペースの確保が意外に大変
※ ユーレックス社のシミュレーション値を使って、筆者が独自に計算した電気代。エコ運転、1日9時間稼働を想定。詳しく知りたい人は、一ヶ月つけっぱなしのオイルレスヒーターの電気代は? エアコンとも比較してみた を合わせてご覧ください。エコ運転モードがないモデルもあります。
3つの注意点について順番に解説していきます。
ブレーカーが落ちやすくなる | 最低でも50A のブレーカーが必要
20畳の部屋を暖める時に、2台のオイルレスヒーター(1,500W) をフルパワーで使ったと仮定すると、合計30Aの電流が必要となり、頻繁にブレーカーが落ちる可能性があります。この「ブレーカーの落ちやすさ」をより具体的なシチュエーションでどうなるか計算してみます。
まず最初に、シチュエーションは以下の通りと仮定します。
日時:真冬の夜
シチュエーション:冷え切った家に家族4人で帰宅
ブレーカーの電流容量:40A※
オイルレスヒーターの稼働状況:早く暖まりたいので、20分ほど2台フルパワーで稼働
その他の電気使用状況:玄関、リビング、キッチンなどの電気はオン。子供がテレビをつけている。
※東京電力のデータ より、家庭一軒当たりの電流使用量は約35A であるため、ブレーカーの容量は40A と 仮定
以下、オイルレスヒーターの電流の計算です。
オイルレスヒーター1台をフルパワーで使った時の電流:1,500W ÷ 100V = 15A
2台フルパワーで使った場合の合計電流:15A + 15A = 30A
この時、オイルレスヒーター2台をフルパワーで使った時のブレーカーの余裕は10A(=40A-30A) しかないことがわかります。
一方、以下の図は、照明や他の電化製品を使用した際の電流を合計した積み上げグラフ※ です。他の製品の待機電力も考えると、ブレーカーが40A の場合、ほぼ余裕がゼロであることがわかります。わかりやすく言うと、オイルレスヒーター2台と同時に、たくさん電気を使う電子レンジやドライヤーのような製品を使うとブレーカーが落ちるイメージです。
※ 代表的な値を使って筆者が作成しました。あくまで参考です。
したがって、筆者は、オイルレスヒーター2台をフルパワーで同時に使う場合は、最低でもブレーカーの電流容量を50A 以上にすることをおすすめします※。あるいは、フルパワーで2台同時運転を避ける、他の電化製品や照明とのバランスを工夫することが必須になります。
※ブレーカーの電流容量を上げると基本料金が上がるので、事前に確認をお願いします(参考:東京電力のHP)
電気代が高くなる | 例えば、一日9時間のエコ運転で約9,000円/月
筆者の試算では、代表的なオイルレスヒーター1台をエコ運転で9時間稼働した時の電気代は約4,500円/月でした。したがって、2台のオイルレスヒーターを同程度使った場合は、一ヶ月あたり約9,000円かかることになります。4,500円の根拠については、こちら の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
使用時間は人によってかわりますが、この9,000円前後の電気代を高いと感じる人は多いと思います。乾燥しにくい、ホコリをまきあげない、静か、やけどしにくい、といった点に大きなメリットはあるため、電気代が許容できる人だけ、2台使いを検討してみてください。
空きコンセントとスペースの確保が意外に大変
オイルレスヒーターを2台使いする場合、意外に難しいのがこの置き場所問題です。理由は、以下4つの制約をクリアする必要があるからです。
- 延長コードは使用禁止
- 定格電流15A(2口)のコンセントは1口空けておかなければならない
- 電源コードはモデル1.2~2.5m
- 壁や家具から最低20~30cm 以上は距離をとる必要がある
筆者が知る限り、オイルレスヒーターの説明書や公式サイトのQ&A には必ず、「電源は壁のコンセントから直接とるように」と記載されています。つまり、延長コードやタコ足配線は禁止です。また、一般的な2口のコンセントを使う場合、オイルレスヒーターでコンセントを1口使うと、もう1口は空けておかなければいけません。
理由は、フルパワーで運転した時のオイルレスヒーターの電流が大きく(1,500Wモデルは15アンペア)、コンセントの定格電流(2口あわせて15アンペア) ギリギリなためです。定格電流を超えて長時間使い続けると異常加熱が起こり、最悪の場合、火事になる可能性もあります※。
※コンセントの定格電流を超えて使ってはいけないのは、すべての電化製品で同様です。オイルレスヒーターは比較的電流の大きい製品であるため、より注意が必要ですが、ルールを守れば安全です。
オイルレスヒーターの電源コードはメーカーや製品によって異なりますが、1.2m しかないモデル※ もあるので、特に2台使いする場合は、購入前に確認することをお勧めします。短いと足を引っかけるリスクは低くなりますが、置き場所の自由度は低くなります。
※ディンプレックスの一部のモデルは電源コードが1.2mです
壁や家具からの距離も考える必要があります。基本的にどのオイルレスヒーターも「壁や家具、カーテンなどから20~30cm 以上離してください」と取扱説明書などに記載があります。1台なら特に問題ない場合が多いと思いますが、コンセントや電源コードの長さの制約に加えて、ヒーター2台の周りに空間を確保するのは、意外に難しいと思います。2台使いする場合は、購入するオイルレスヒーターの取扱説明書の「安全上のご注意」を確認するか、メーカーに問い合わせの上、使用予定の部屋に配置可能かを検討してみてください。
オイルレスヒーターを20畳の部屋で使用する場合は、エアコンとの併用がおすすめ
オイルレスヒーター2台使いが難しい場合、エアコンとの併用がおすすめです。ただし、何も考えずにエアコンを使ってしまうと、以下のようなオイルレスヒーターのメリットを台無しにしてしまいます。
- ファンによる風が出ないので、乾燥しにくい
- 風が出ないので、ホコリをまきあげない
- 輻射熱で人体や部屋(床、天井、家具など) をあたためる
- 音が静か
そこで、オイルレスヒーターとエアコンを併用する際のコツをまとめました。ちょっとしたことですが、できるだけオイルレスヒーターのメリットを生かすことで、快適なおうち時間を過ごすことができるので、ぜひやってみてください。
20畳の部屋でオイルレスヒーターとエアコンを併用する際のコツ
- 電気代をおさえるため、冷えた部屋を暖める際には、まずエアコンを使う
- 部屋が温まったら、エアコンを「風よけ」モードなどにして、風による乾燥やホコリの巻き上げを防ぐ
- オイルレスヒーターを人が長く過ごす場所(ソファの前など) に置く
- 湿度が低くなる場合はハイブリットタイプの加湿器を併用する
オイルレスヒーターの電気代をおさえるコツは、「強」で運転する時間を短くすることことです。そのため、まず最初にエアコンで部屋を暖めておくのがおすすめです。もう一つのコツは、オイルレスヒーターを窓際に置くことです。これにより、冷気(コールドドラフト)の侵入を防ぐ※ことができるため、省エネになります。
※詳しくは、ディンプレックス公式サイトの解説をご覧ください。
ただし、エアコンの風はホコリをまきあげたり、直接体にあたって肌や喉が乾燥させたりします。そのため、部屋が温まった後は「風よけ」モードに変えたり、風向を工夫したりして、風が人や床付近に当たらないように工夫する必要があります。この時、寒く感じる場合には、オイルレスヒーターを人が長く過ごす場所(ソファの前など) に設置すると、輻射熱によって人体そのものが温まるので、おすすめの方法の一つです。
エアコンを併用することで乾燥がつらい場合は、加湿器の併用も考える必要があります。広い部屋の部屋の加湿にはハイブリット型の加湿器が適しています。例えば、ダイニチ工業のHD-PN155(加湿量1,500mL/h, 木造25畳まで) を使った場合の電気代は、エコ運転で約240円、標準運転で約2,900円、かかります。最初は各製品のバランスが難しいかもしれませんが、試行錯誤することによって、例えば「エアコン弱め・風よけ + オイルレスヒーター中 + 加湿器をエコ運転」といった各家庭に合った使い方が見つかるのではないかと思います。
まとめ
オイルレスヒーターの主要メーカーの対応畳数と最大消費電力をまとめて、13畳用(1,500W) が最大であることを解説しました。したがって、オイルレスヒーター単独で20畳の部屋全体を暖めるのは難しいことがわかります。2台のオイルレスヒーターを使用する方法もありますが、ブレーカーの容量や電気代、空きコンセントと設置スペースの制約があるため、筆者はエアコンとの併用をおすすめしています。
オイルレスヒーター2台をフルパワーで稼働すると、合計30Aの電流が流れるため、ブレーカーの容量は最低でも50Aは必要です。また、電気代も月に約9,000円かかる計算です※。一方、延長コードやタコ足配線は禁止されていて、2口のコンセントは1口空けておく必要があります。これらの制約は、コンセントの定格容量(2口あわせて15アンペア) からきています。さらに、壁や家具からの距離を取る必要があるため、置き場所の確保が意外に難しいです。もし2台使いをする場合には、本記事やメーカーの取扱説明書等を読んで、検討をしてみてください。
※メーカーのシミュレーション値を用いて、筆者が独自に計算した参考値。2台をエコモードで1日9時間運転を想定。
オイルレスヒーターとエアコンを併用するときのコツについても紹介しました。
オイルレスヒーターは「強」の運転が長いと電気代がかさみます。そのため、まず最初にエアコンを使って部屋を暖めることで電気代が節約できます。また、オイルレスヒーターは窓際に置くことで冷気の侵入をシャットアウトすることができ、省エネすることができます。部屋が暖まった後は、エアコンを「風よけ」モードや風向を工夫することで、オイルレスヒーターのメリットを生かすことができます。エアコンの併用で乾燥が気になる場合には、ハイブリッド型の加湿器の併用すると快適な環境が保てます。
オイルレスヒーター単独で20畳の部屋全体を暖めることはできませんが、エアコンとオイルレスヒーターそれぞれの良い所を使って、快適なおうち時間をを手に入れてみてください。
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